アイキャッチをクラゲにしてみました。きれい。
先週はサーバーが落ちていたため更新が遅くなってしまいました…。
気を取り直して、前編に続いて、後編をお届けします。
ここまで行けたらマニアな3選! |
(1)恋路海岸
“誰かとの恋が実ることを祈って、僕は鐘を鳴らしました。そぼ降る雨の中、人っ子一人いない海岸に鐘の鈍い音が響きました。どう考えても実らなさそうだ、と思いました。”(p.335)
守田くんが谷口さんと一緒に訪れた、悲恋の伝説が残る能登随一のパワースポットが恋路海岸です。
2人はこのどんよりした天気の中で鐘を鳴らし、灰色の浜辺で赤い風船が落ちているのを見つけるのでした。
“臨界実験所の生活も、七尾湾も、谷口さんも、行き帰りに乗る能登鉄道の車窓も、七尾駅前の街並みも、この先の我が人生も、一切がことごとく灰色だ。”(p.29)
という悲しいセリフがありましたが、能登の天気は本当に移ろいやすく、空はいつも灰色です。この写真のまんまです。
2人が鳴らした「幸せの鐘」はこちら。
鳴らす人とお天気を選べば、ちゃんとかわいい観光スポットですよ。笑
ただ、のと鉄道は恋路海岸まで伸びていないのでこちらに行くためにはレンタカーもしくはバスの利用となります。
ちょっと行きにくいかもしれませんが海岸線のドライブは景色が最高なので、お時間に余裕があれば是非オススメします!
(2)羽咋(はくい)
“現実逃避のため、昨日は「羽咋」という町へ行ってきました。驚くなかれ、ここはUFOが飛来し、この界隈でもっとも宇宙に近い町として知られているのです(と谷口さんから教わりました)。”(p.51)
冬の写真ですが、羽咋駅前の様子です。
駅前からこんな感じでUFO推し。コスモアイル羽咋というNASA特別協賛施設まであるという、UFOに関しては本気の町が能登にあります。
金沢方面からなら七尾駅より手前にあるので行きやすいです。宇宙に興味があってお時間にも余裕があれば降り立ってみてください。
ただし守田くんはこう言っていました。“しかしUFOは見つからず、休日を無駄にしました。”
駅前にある謎の“ジョジョ石”も見どころ!
(3)美術館と高校
“俺がアパートを借りたのは「七尾」というところだ。アパートのまわりは、美術館や高校がある。”(p.11)
冒頭で私の心をわしづかみにしたのがこの文章でした。
地理的に七尾美術館と七尾高校のことだと思いますが、七高は私の母校なのです。(個人的な理由ですみません。)
七尾高校はASTY裏手にあります。守田くんの生活導線が目に見えるようですね。
恋文の技術にまつわる豆知識3選! |
守田くんが勤務していた実験所の最寄り駅である能登鹿島駅に連なる2つの駅も面白いのでご紹介します。
(1)西岸駅
作中でさらっと名前のみ登場する西岸駅。「花咲くいろは」というアニメに登場する湯乃鷺駅のモデルとなった駅です。
この駅が何なのかと言いますと、こちらの看板をご覧ください。
アニメの舞台となった記念に建てられた看板なんですが…。
隣駅の名前が「守田」と「大塚」なんですね!
この看板を企画された方が恋文の技術のことをご存知で、遊び心で名付けられたそうです。
アニメでもこの駅名で看板が登場するそうですよ!
大塚さんが駅名に選ばれているのがちょっとおもしろいです。
これはたまたま目撃して激写した「花咲くいろは」のラッピング電車。
電車よりも周りの山っぷりに目が行きますね…。笑
(2)能登中島駅
“能登中島駅に展示されている「郵便車」が、俺の書いた恋文を満載して深夜に光り輝きながら京都へ出発するという夢を見ました。”(p.186)
“ホームの反対側に鉄道郵便車が展示されていました。濃紺の車体に、栄光の〒マーク。私が妄想するに、この郵便車はかつて膨大な手紙を積んで鉄路をたどり、遠く離れて暮らす親と子、友と友、そして男と女の心をつないできたのです。”(p.41)
駅の横には国内に2両しかないという郵便車が展示されています。
昔はこの車両の中で郵便物を仕分けしながら運んでいたそうです。
守田くんの夢の中ではこの車両いっぱいに恋文が積まれていたとのことなので、それくらい伊吹さん(守田くんの片思い相手)への想いが強く夢に現れたんですね。笑
これらの駅は能登中島駅→西岸駅→能登鹿島駅の順で隣り合っているので、景色を楽しみながらのと鉄道にゆられてみてください。
ホームの雑踏や押し込み乗車とは無縁の一両編成の電車。これこそ能登の雰囲気ですね。
車で行く場合はこんな景色。
西岸駅あたりは道がとても細いので注意が必要ですが、愛車を所有していた谷口さんの通勤ルートです。
(3)旅館「海月」
“「海月」という宿は、俺がよく通っていた和倉温泉「総湯」の斜め向かい側にあります。海月というのはクラゲのことであり、クラゲ専門家たる谷口さんの愛用の宿たるにふさわしい。”(p.195)
残念ながら閉館しておりまして跡地が駐車場になっています。谷口さんに悲しまれそうです。
温泉旅館というと豪華でお高いイメージがありますが、海月はアットホームで入りやすいお宿だったと聞いています。
守田くんと谷口さんが最上階で酔いつぶれたという日本一の宿・加賀屋さんが後ろで堂々とそびえ立っています。
左も右もどちらも加賀屋さんです。
最後に |
これでおしまいです。
恋文の技術を読んだことがある方もない方も、能登に行った気分になってもらえていれば嬉しいです!
もし聖地巡礼される方がいらっしゃいましたらこちらの記事もご覧になってください(^^)
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ちょっと偏屈に見えても実はどこかふわふわした雰囲気があって、頭をからっぽにして楽しめる。
この小説も、能登という地域も、そんなゆるさが共通している気がします。
普段は京都を舞台にした小説が多いという森見作品ですが、この小説で能登が舞台になったのはそのおかげかも?
どちらかが好きならきっともう片方も気にいると思います。
以上、今回はいつもとちょっと違って聖地巡礼の旅をご案内しました(^^)/
“【森見登美彦】能登が舞台の小説 “恋文の技術”を地元民がめぐる旅ー後編” への1件の返信
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