皆さんこんにちは!
今回はいわゆる“聖地巡礼”の旅を、地元民がナビゲートします。
“恋文の技術(森見登美彦先生)”は主人公が京都から遠く離れた能登にある研究施設に飛ばされてしまったという設定のお話。
地元民なら思わず反応してしまう実在の地名や店名がどんどん出てくるので、それらを実際に周り、豆知識とともにご紹介。
聖地巡礼を計画している方も能登は遠くていけないな…という方もぜひご覧ください(^^)
何が何でもここは行ってほしい3選! |
(1)能登鹿島駅
“今の俺に見えるものは、山と海の間を静かに駆け抜ける能登鉄道。無人の能登鹿島駅。春の陽射しをうけて、おだやかにきらめく七尾湾。”(p.17)
“「のとかしま」駅で、のと鉄道の写真をとったので、いっしょにおくります。さくらのトンネルがすごいでしょう。”(p.69)
まずは主人公の守田くんが通う実験所の最寄り駅・能登鹿島駅です。こんなに可愛い駅で乗り降りしてたんですね。
出版当時の駅舎はピンク色ではなく白色だったかもしれませんが、大正チックな駅舎は何色でも可愛いです。
能登さくら駅の別名を持つ桜の名所でもあります。
※駅について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
おだやかにきらめく駅前の七尾湾はこちら。
なんと野生のイルカが顔をだすこともあるそうです!(上記の記事に登場してくれたさとうさんが教えてくれました)
特に電車で通勤している人たちからの目撃情報が多いそうで、なんて贅沢な通勤ルートなんでしょう。
私も朝からイルカを見ながら通勤したいものです。
駅前にはポストが(ちょうど集荷のお時間でした。お疲れ様です)。
守田くんも通勤ついでにここから投函したこともあったかもしれませんね。
大塚さん(大学の研究室の女王)が守田くん愛用のパソコンと実験ノートを隠してしまったのが駅舎内でした。
ここには能登ゆかりの書籍が置いてあって、もちろん恋文の技術も1冊置いてありました。
七尾駅から更にのと鉄道に乗り換えて行く必要があるので遠いですが、皆さんも守田くんの通勤ルートをぜひ体験してみてください!
(2)七尾駅
“これで最後になるだろうと思って、七尾駅前のミスタードーナツに寄った。珈琲を飲みながらおまえの手紙をもう一度読み、ひとり淋しく赤面した。”(p.223)
“今日は守田が京都に帰るというから、用事ついでに七尾駅まで見送りに行ってやった。”(p.293)
守田くんが住んでいたアパートの最寄り駅、そして京都へ帰るサンダーバードの始発駅。
このミスタードーナツでお手紙を書いたり読んだりしてたんですね。
近くにオシャレカフェもいくつかあるのにミスタードーナツを選ぶところが可愛いです。
まみやくんへのお手紙に登場した駅前の塾はこちら。
塾を見かけるたびにまみやくんのことを思い出していたかもしれません。
(3)のとじま水族館
“明日は能登島水族館のイルカに会いに行く。イルカはガラス越しではあるが、俺の一切を黙って受け入れてくれる。彼女だけが俺の心の支えだ。”(p.27)
“大塚さんが研究室の後輩たちに「守田君は能登島水族館の雌イルカとねんごろになっている」と根も葉もないことを吹聴し、”(p.316)
守田くんが癒やしを求めてイルカに会いに行っていた水族館。日本最大級のトンネル水槽やジンベエザメが見どころ!
手を伸ばせば届きそうな距離でイルカが見られます。ここでイルカと会話していたのかな?
そして谷口さん(実験所の鬼軍曹)と守田くんが研究していた“クラゲ”の展示にも力を入れています。
水族館前の海で毎日クラゲを採集しているそうです。
傘にある四つ葉のクローバーのようなものは生殖巣と胃だそうです。
クラゲの研究って具体的に何をするのか分かりませんが、不思議な生き物なので研究しがいがありそうですね…。
七尾にクラゲの実験施設があるという話は聞いたことがないのですが、穏やかな七尾湾で豊富にクラゲが採集できるので研究に適しているのは間違いないと思います。
守田くんの七尾での生活を感じる3選! |
(1)みのわ書店
“偶然立ち寄った小さな書店のおじいさんと仲良くなったのだが、古いビデオがたくさんあった。”(p.17)
“今日はぶらぶらと七尾の町を散歩して、みのわ書店のおじいさんとクラゲや城跡について語り合い”(p.203)
作中ではみのわ書店という名前で登場するのがこちらの三輪書店さん。
残念ながら現在は貸店舗になっていますが、作中に出てくるおじいさんと同じ雰囲気の店主さんが営む昭和の雰囲気そのままの書店だったそうです。
この辺りは一本杉通りといいます。登録有形文化財の建物が立ち並ぶ歴史を感じる通りです。七尾駅から歩いていける嬉しい距離ですよ!
“私は七尾の町をうろついて、能登食祭市場を見物に行ったり、小丸山公園でひとり淋しくうなだれたりしていました。”(p.160)
守田くんがうなだれていたという小丸山公園(小丸山城跡地)はみのわ書店から歩いて行けます。
もともとは前田利家が築いたお城の跡地ですが、現在は池や相撲場などが整備されていて散策が楽しい公園です。
ちなみにみのわ書店と小丸山公園を結んでいるのがこちらの花嫁のれん館。
作中で守田くんは花嫁のれんより別のものに興味を持っている様子がありましたね。笑
花嫁のれんは婚礼に用いられる特別なのれんで、石川県を中心に北陸地方で見られる風習です。のれん館では婚礼の儀式(のれんをくぐる)も体験できますよ。
(2)ASTY(アスティ)
“七尾のアパートも快適だ。近所にASTYとか、ヤマダ電機があるので生活には不自由しない。”(p.201)
地元民として一番笑ってしまったのがここでした。アスティ!
こんなローカルなショッピングセンターがさらっと出てきていいのでしょうか。笑
七尾市民の生活を支える大切なお店です。
(3)総湯
“総湯に入ったあと二人で温泉玉子を作って遊んでいると、京都から旅行で来たという美女と知り合った。(p.37)
“総湯に入って男を磨くのは、天狗ハムと並んで俺の数少ない気晴らしの一つであります。(p.92)
男は清潔感が大切だという谷口さんとともにたびたび利用していた総湯。
画像手前に見える丸い温泉にたまごを入れておけばほんのり塩味の温泉玉子が作れるので、二人になったつもりでトライしてみてください!
手軽に和倉温泉を楽しめるので旅のついでの観光客の方々もたくさんです。
長くなってしまったので、続きは後編へ。
もう少しマニアックなところもあり、まだまだ続きます!
“【森見登美彦】能登が舞台の小説 “恋文の技術”を地元民がめぐる旅ー前編” への2件の返信
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